自転車は、”チェーン”を伝ってタイヤを回す乗り物です。
チェーンは、洗えば何度も使えそうすが、実は消耗品です。
消耗品ということは、いずれは交換をしなければならない。では、いつ交換するのが良いのか。
その際に目安とするのが「チェーンの伸び」です。
「え、チェーンって金属じゃん。金属って伸びんの?」
私も最初はそう思いましたが、その原理を知って理解したので、今回は「伸びる」と言われるその原理について綴ります。
チェーンの仕組み
チェーンは、多くの部品から成り立っています。
これら複雑な部品が、100組以上(モノによって数が異なる)つながってできているというのが”チェーン”です。もはや芸術ですよね。
金属でできていることは分かりますが、どんな材質のモノが使用されているかは公開されていないため分かりません。
「伸びる」わけではない
まず、そもそもの考え方ですが、上図のように金属が物理的に「伸びる」わけではありません。チェーンに使われている金属は、人間の力で伸ばせるようなモノではありません。
では、この業界で言われる「チェーンが伸びる」とはどういうことでしょうか。
それは、チェーンの丸い金属部分である「ピン」付近が摩耗してスキマができ、その分だけズレて全体的に長くなっているように見える現象のことを指します。
先述のとおり、チェーンはピンとプレートが100個以上も組み合わさって出来ているので、1つのピン周りが0.01mm摩耗しただけで、×100個で10mm、つまり「1cm」も”ズレる”わけです。(実際はそんな単純計算じゃないんでしょうけれど)
これが、”チェーンが伸びる”という言葉の正体です。
チェーンが伸びると何が問題?
では、チェーンが伸びる(摩耗する)とどんな問題が起きるのでしょうか。
いくつかピックアップしてみましょう。
ギアチェンジの効率が落ちる
ロードバイクの変速機は「外装変速機」というタイプが採用されていて、ディレイラーと呼ばれる部位によって、チェーンが強制的にズラされて変速(ギアチェンジ)する仕組みになっています。
ディレイラーは、英語で「derailer」と書き、「脱線装置」という意味があります。つまり、”チェーンを強制的に脱線”させてギアを変えるのがディレイラーの役目です。
チェーンが伸びることによって、ディレイラーによる強制的な脱線ができなくなり、スムーズなギアチェンジが難しくなります。
ペダリングの効率が落ちる
チェーンが伸びると、それだけムダに回さなければならなくなります。
それがロスであることは、言うまでもありません。
チェーンが落ちやすくなる
チェーンが伸びると、その分だけ余計にたわむことになるので、チェーンが外れるリスクが高くなります。
今回、私がチェーンについて調べ始めた事の発端は、ダウンヒルをしている最中に、ちょっとした衝撃でチェーンが落ちてしまったことにあります。
ダウンヒル中で、ペダリングをしていなかったので大事には至りませんでしたが、ヒルクライムなどでトルクをかけている最中にチェーンが落ちると落車する可能性も十分にあります。
クランクやプーリーの消耗を早める
クランクやプーリーは、チェーンが適正な長さである状態をベースに作られているため、チェーンが伸びるにしたがって噛み合わせが悪くなり、消耗が早くなります。
チェーンの交換時期はいつ?
それでは、チェーンはいつ交換するべきなのでしょうか。
距離でいけば「3,000km〜4,000km程度で交換」という意見が多いようですが、その人の乗り方によって変わるので、あまりオススメの指標とはいえません。
そこで、「チェーンチェッカー」というアイテムを使うことで、交換時期を把握します。
チェーンチェッカーは、チェーンに乗せるだけで伸び具合を計測できるアイテムです。
「.75」「1.0」と書かれている部分があり、この数字は初期状態から0.75%、1.0%伸びたことを表します。
▲チェーンが0.75%伸びているかを確認
この「.75」と書いてある方の突起が、チェーンの穴にスポッと入ったら、“チェーンが0.75%伸びている”ということを意味します。
最後に
「チェーンが伸びる」とはいえ、せいぜい全体で1〜2cm程度なので、私ごときの経験値では、目で見て判断することはできません。
なので、初心者はチェーンチェッカーを使った方が確実かと思います。
その名のごとく、「チェーンの伸びを測定するためだけの工具」なので、「これだけのためにお金を払うのか・・・」と思っちゃいますが、投資だと割り切りましょう。
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